メガネっ娘はメガネが本体

小谷ちあきと加藤里保菜が好きです

なぜ会社には『オジサン』がいるのか?

最近、友人たちと麻雀している際に「会社にはなぜ『オジサン』が蔓延しているのか?」という話になりました。

ここでいう『オジサン』とは中年男性のことではなく『会社に来ているが生産的なことはせず、だらだら働いている年次が高めで「上席部長代理」みたいなわけわからん役職の会社員』を意味しています。 友人たちはいわゆる『日本的大企業』に勤めており、どんな部署や現場にもたいてい一人はいるみたいです。(もちろん大企業には優秀な人の方が多いとは思います...。)

私も銀行員時代に多くの『オジサン』と仕事や飲み会で話したことがあるので、友人たちが『オジサン』と一緒に仕事をしたくない気持ちはわかります。特に私を含め今の20代は終身雇用ではなく、転職を前提としてキャリアを重ねているので、何もせずに会社にしがみつくといった行動は理解しがたいものでしょう。

しかし、これまで多くの『オジサン』たちと接する中で、誰でも『オジサン』になる可能性はあるのではないかと私は思うようになりました。
今回はその理由をまとめてみました。

『オジサン』の生態

●言われたことしかしない

彼らは書類作成や事務手続きといったタスクの処理速度や質に問題はなく、コミュニケーションも普通にこなせます。 コンサルでのプロジェクトで彼らに業務依頼をすることが多々あったのですが、とても丁寧に仕事をしてくれました。

しかし、これまでのキャリアの中で上から言われた仕事を社内のルールに沿って処理することばかりやってきたため、問題意識を持って自発的に何かアクションを起こしたり、決まった方針に対して意見を言うといったことはしていませんでした。また、彼らの中には指示のないことをやって、何かミスをすると問題になるから何もしないという責任回避戦略をとっている人もいました。
自発的に動かないことで大きなミスをすることなく、また上司から悪い印象を持たれることもなく、そつなく年次を重ねてきたのでしょう。 (ちなみに酷いケースだと、細かいワークフローを提示してあげないと一切業務に移れない人もいました。)

●プライドが高い

『オジサン』は数十年間一つの企業で勤め上げ、『上席部長代理』や『課長代理補佐』と言ったわけのわからんながらも一応”役職”を持っています。
そのため彼らはプライドが高く、若い人から指示を出されたり、指摘を受けることを嫌がります。年功序列への信仰が強い彼らには若い人よりも様々な苦労をしてきた自分が勝っているという想いを持っているのでしょう。
(もちろん年齢を重ねて素晴らしい経験をされている方もたくさん見てきましたが、そういった方は年下にも敬意を持って接してくれました。)

●部下がいない

彼らは”役職”は持っているものの実質的には部下がいません。
常に上司からの指示を受けて仕事をしているため、たとえ年下のチームメンバーがいたとしてもタスクの切り分けや進捗管理といったマネジメント業務をうまく回せていないケースが散見されました。

●転職先がない

上述したように彼らはアラフォーにもかかわらず自分で仕事を組み立てることやマネジメントの経験が浅いもしくは無いケースが多いです。
また経営企画室や財務企画部のように転職市場で評価されるような専門性の高い部署ではなく、重要度が比較的低い業務を担う部署にいる傾向にあります。(会社によって部署の評価が異なるので、あまり明示しないでおきます。)

さらに年功序列の企業で40を超えると年収が1000万円を超えることも珍しくありません。 能力と年収に大きな不均衡がある彼らには、現状と同じ条件での転職先がないケースがほとんどです。 (銀行の場合は50歳以降の出向先を会社が用意してくれます。)

転職先が無い彼らはたとえ嫌なことがあっても会社にとどまり定年を迎えるという戦略をとります。
このようにして会社に仕事ができないけどプライドと年収が高い『オジサン』がたくさん生まれます。

ちなみにこういった問題は日本企業だけの問題かと思われがちですが、私の在籍するコンサル会社でも最近規模が大きくなったためか、こういった『オジサン』を結構見かけるようになりました。

なぜ『オジサン』になってしまうのか

私がこれまで書いてきてオジサンがこんなにもたくさんいる理由として以下の2点が考えられます。

●意思要因

もともと仕事に全く意義を見出さずに、可能な限り楽にお金を稼ぎたい人がこれに当たります。(簡単に言うとやる気が無いタイプ)
このタイプの人は最小限の努力で高いリターンを得ようとするので、楽な仕事を率先して取りにいきます。そして彼らは会社に出勤することで給料が発生すると考えているので、『オジサン』状態であっても幸せを享受しています。

●環境要因

意思要因よりも多いと思われるのが、本人ではほとんどコントロールが効かない環境による影響です。
総合職採用の場合だと『配属ガチャ』と言われるように、初期配属部署と上司が運で決まるケースが多いです。(ちなみにコンサル会社でも『プロジェクトガチャ』と呼ばれるように、業務内容やマネージャーが運で決まりがちです。 )

ここで事務処理や総務系の部署に配属されてしまうとなかなか自身の市場価値を高めるような業務に携われずに数年を過ごすことになります。また、そういった事務領域の業務を長年続けると、その後のローテーションでも同様の部署に異動しやすいため、なかなか抜け出せません。

タチが悪いことにこういった事務処理系の仕事はルールに沿って手を動かすばかりで考えることが少なく楽なので、最初は高い志を持って入社した人でも徐々に環境に慣れてしまい、自分で考えて仕事をすることに対して抵抗が出てきます。
このように考えない癖がつくと、その後企画や開発系の部署に異動できてもなかなかその癖が抜け出せずに結果が出せなかったりします。
ホリエモンやZOZOの前澤社長が言うように、「どんなに簡単な業務であっても自身の工夫次第で変えていける」という考えもありますが、実際にこういった環境に身を置いてしまうとなかなか難しいかと思います。)

また、どんな部署だとしても上司や先輩の多くが『オジサン』傾向にあり、意見が封殺されてしまう環境にいると、発言をすることに恐怖心や躊躇が生まれてしまうため、徐々に彼らのように言われたことだけをただやる姿勢が身についてしまいます。

 
「こんな環境にいるなら抜け出せばいいじゃん」っていう人もいるかと思いますが、転職面接の場で話せるような経験が少ないことに加え、毎日意に沿わない業務やソリが合わない上司との付き合いを続けていると精神的に磨耗し、現状を変えようという意思が無くなっていきます。
さらに私の経験上、自分の現状がイケてないと、仕事がうまくいっている友人と会って話すのが億劫になって、仕事がうまくいってない友人とばかり会って愚痴メインの飲み会をするようになります。こうなると愚痴で発散することに快楽を見出し、現状を変えられなくなります。

大学時代に様々な企画の運営や留学をし、研究もしっかり行っていた知人に卒業後数年ぶりに会ったら、仕事の不満ばかり話しており、昔のようなアクティブな姿勢や現状を変えていこうという気持ちもほとんど無くなっており驚いた記憶があります。(彼はその後転職できたみたいで、今はとても楽しそうにしています。)

誰でも『オジサン』の素質がある

●なってしまうのは仕方ない

これまで『オジサン』のよくないところと述べてきましたが、強いビジョンや意思を持っている一部の人を除いて、多くの人は誰でも環境次第で『オジサン』になってしまう可能性があると思います。
(もちろん環境は自分の努力次第で変えられるので、すべてを環境のせいにするのは間違っていると思います。)

できるとすれば定期的に自己分析をして振り返ったり、様々なタイプの人と会うことで自身を客観視し、『オジサン』化している場合は自分の考えや環境を迅速に変化させることだと思います。

●『オジサン』も悪いものではない

私は銀行員時代やコンサルでのプロジェクトで会ったオジサンたちの中にはプライドが高く偉そうなのに全く仕事をしない厄介な人もいましたが、それ以外にも仕事のことは無視して奥さんとの時間を過ごす人、娘の進学を人生の目標にしている人、年収1000万円超なのでコスパがいいと自慢する人など、自身の現状の中から楽しさを見出している人もいました。

生き方が多用していると言われながらも、「仕事で意義を見出さないといけない」という風潮が強い現代だからこそ、彼らのような生き方もあるのだと認識することで視野を広げることができるのではないかと思います。(会社にとっては利益を出していない場合が多いので、手放しに良いとは言えないけども...。)


 

最後に一つ言いたいのは今私たちが『オジサン』と読んでいる人たちも昔は『希望に溢れた新社会人』だったし、同じように『オジサン』にはなりたくないと話していたと思います。
しかし、仕事や上司と合わなかったり、経済環境や会社の経営状態が急変したり、私生活で何かよくないことがあったりと様々な要因があって今の状態に至ったのではないでしょうか。
なので私は一概に『オジサン』になってしまった原因が彼らにすべてあるとは思えないし、そうなってしまった背景をより詳しく知ることができれば、今後働いていく人々にとってのより良いキャリアの歩み方が見つかるのではないかと思います。